こんにちは。岳中爽果のパートナーのはじめです。
爽果さんが珍しく常設用の器をお届けするので、店頭でご覧いただけると嬉しいです。
僕は便乗して料理帖の更新です。
 

さて今回は、普段は捨ててしまっている野菜くずを利用して2日分の料理を作るという、なんともお得感の強い内容です。
 
野菜くずを使ってベジブロスを作り、そのスープで鶏肉2枚に火を通し、1日目は茹で鶏として、2日目にスープと鶏肉で酸っぱくて辛いスープ(いわゆる酸辣湯)を作ります。

爽果さんが春雨なんかのちゅるちゅるした食感の食べ物が大好きなので彼女には大好評です。一度酸辣湯に春雨を入れ忘れたことがあり、そのことを知ったときの爽果さんの顔を忘れることができません。まるで病院に連れていかれることを悟った芝犬のような表情でした。
それ以来、酸辣湯には春雨、が僕の中で絶対化しました。
 

鶏肉2枚のうち1枚は酸辣湯用に胸肉を、もう1枚は胸でもももでもお好みでどうぞ。
我が家では胸肉なら茄子と中華風サラダに、もも肉なら魚焼グリルでさっと皮に焼き色をつけて柚子胡椒でいただきます。
 

今回は中華風サラダと酸辣湯を紹介します。
 

ベジブロス

でも、その前にまずベジブロスですね。
聞きなれないカタカナに身構えなくても大丈夫、野菜だしです。
手の込んだレシピは色々ありますけれど、続けることが肝心、ということで、手抜きです。
 

まずは野菜くずを用意します。僕は冷凍庫にジップロックの大を専用に用意していて、野菜くずが出たら都度放り込んでいます。だから季節によって内容は随分と変わってきます。

人参やきゅうりのへた、カボチャやゴーヤの種とわた、キャベツや白菜の芯、ブロッコリーの皮なんかがパッと思い浮かびます。

カボチャのわたはスープが少し茶色っぽくなったり、ゴーヤのわたが多いと苦味が出たりと、いささか個性が強いスープになりますが、それも含めて楽しむといいと思います。カボチャの種は、漢方にも使われているくらいなので捨てるのはもったいないです。我が家では野菜の皮は基本的にむかないのでくずとしては出ませんが、むく場合はぜひ加えてください。

どの野菜を使うか、色々哲学はあるようですけれど、僕はあまり気にしていません。続けていればそのうち自分やご家族にとっての最適解は見つかると思います。
 
まずは野菜くずを貯めること、そしてジップロックが一杯になったら作成開始です。
 

道具

・行平鍋22cm
・ざる
・キッチンペーパー
 

材料

・野菜くず
・水 1,500cc
 

手順

1)鍋に野菜くずと水を入れ強火にかけます。

2)沸いたら(沸騰させるな、というレシピが多いです)強めの弱火程度にしてふつふつとした状態で30分ほど煮ます。

3)大きな野菜くずは取り除き、残りをキッチンペーパーをしいたざるで漉します。キッチンペーパーで漉すのは、ヘタなどについていた細かい土などを取り除くためです。

4)仕上がりのベジブロスは1,200cc程度にはなると思います。

5)野菜くずには水分がまだたっぷり含まれているので、捨てる前によく水切りします。僕はざるにあげて放置しています。
 

茹で鶏

ベジブロスが熱いうちに次の手順に進みます。
一連の流れ作業だと考えてもらうといいと思います。
 

道具

・ル・クルーゼ22cm(容量3,300cc)
 

材料

・ベジブロス
・酒 大さじ1
・鶏肉 2枚(1枚は酸辣湯用の胸肉)
 

手順

1)ル・クルーゼにベジブロスを移し、酒を加えて沸かします。

2)鶏肉(皮付きなら付いたまま)を加え、弱目の中火で5分ほど加熱して火を止め、蓋をして余熱で火を通します。

3)火が通ったら(時間は測ったことはないですが、2時間もあれば大丈夫だと思います)、食べる分の鶏肉1枚を引き上げます。皮を食べないのであれば、ベジブロスに戻し入れます。

4)酸辣湯用の胸肉はベジブロスにつけたままにします。気温が高い時期は粗熱が取れたら冷蔵します。

茹で鷄はお好みの食べ方で食べてください。シンプルに辛子醤油もいいです。

我が家では胸肉なら茄子の中華風サラダで、もも肉なら魚焼きグリルで皮に焼き色をつけて柚子胡椒でいただきます。
 

茄子の中華風サラダ

夏になると食べたくなります。
茄子でなくてもさっと塩茹でしたもやしでもいいです。
材料には書いていませんが、大葉をあしらっても美味しいです。
 

道具

・蒸し器
 

材料

・茹で鶏(胸肉)
・茄子 3本
・あっさり中華だれ(ベジブロス・酢各大さじ1、醤油大さじ2、砂糖・酒・胡麻油各小さじ1)
・濃い目中華だれ(ベジブロス・酢・八丁味噌・醤油各大さじ1、砂糖・オイスターソース・胡麻油各小さじ1)
 

手順

1)茄子は皮をむかず縦に8等分してトロトロになるまで20−30分蒸します。

2)胸肉は手で適当な大きさに裂きます。

3)1)と2)を皿に盛り付け、中華だれを全体に回しかけます。

4)あっさり中華だれの醤油の半量を八丁味噌で、酒をオイスターソースで置き換えたものが濃い目です。お好みで使い分けてください。画像は濃い目で、濃い目はなんとなくよだれ鷄のタレをイメージしています。


 

茹で鶏グリル焼き柚子胡椒添え

道具

・魚焼きグリル
 

材料

・茹で鶏(もも肉)
・塩
・柚子胡椒
 

手順

1)茹で鷄の両面に軽く塩します。重量の0.8%が目安です。

2)余熱した魚焼きグリルで皮に焼き色がつくように焼きます。身には火が入っているので、焼き目をつけるのが目的です。

3)食べやすく切って柚子胡椒でいただきます。

4)一緒に椎茸や長ねぎ、ししとうなんかを焼いてもいいですね。
 

酸っぱくて辛いスープ(酸辣湯)

2日目はスープも使って酸辣湯を作ります。

酸辣湯と言っても独自の進化をしてしまったので、酸っぱくて辛いスープが一番適切な名前だと思っています。

四半世紀も昔のこと、前の世紀末に外国の中華料理屋で日本人用のメニューに「酸っぱくて辛いスープ」という料理を見たことがあります。酸辣湯のことでした。確かケイマンだかどこかだったと思います。
 
酸辣湯って、要はそういうことです。酸っぱくて辛ければいいのだと思います。

この分量でお鍋の八分目くらいになるので、食べ応えがあります。
 

道具

・ル・クルーゼ22cm(容量3,300cc)
 

材料

・ベジブロス+鶏のスープ 1,200cc程
・鶏胸肉 1枚
・椎茸 3枚ほど
・トマト 1個
・長ねぎ 1本
・生きくらげ 数枚
・生姜 20gほど
・塩 小さじ1.5(塩味は醤油ではなく、塩で調節する)
・醤油 大さじ1
・春雨 65g
・水溶き片栗粉 片栗粉・水各大さじ1
・卵 2個
・酢 大さじ3程度を目安にお好みの量
・せり 1袋
・ラー油 適宜

 

手順

1)具材を切ります。
鶏胸肉は皮をスープに戻し入れ、身を繊維にそって手で裂く。
椎茸は厚めの薄切り、軸も薄切り。
トマトは縦4つ割にして成り口を落とし、各々を縦二つに切り、さらに横に二つに切る。ミニトマトを半分に切っても可。
長ねぎは4cm程度の長さを縦に4つ割。
生きくらげは細めに切る。
生姜は千切り。
せりはざく切り。
 
2)具材に火を通します。スープにまとめて入れず、だしが出る具材から加え、都度沸くのを待ちます。待ち時間に次の具材を用意していってもいいです。

鶏の皮が入ったスープを火にかけ、椎茸とトマトを加えて沸かす。
沸いたら胸肉、長ねぎ、生きくらげ、生姜を加える。

沸いたら鶏の皮を引き上げ(苦手だし、だしもとったので食べません)、塩と醤油で味付けし、春雨を戻さずに加え、春雨が柔らかくなったら鍋の中で直接料理鋏で食べやすい長さに切る(春雨にうまいスープを吸わせたいので、我が家ではいつもこうしています)。
 
3)水溶き片栗粉でとろみをつけます。

水溶き片栗粉の使い方に関して使える知恵が二つあります。他の料理でも応用できるので覚えておくといいですよ。

一つ目は、先にとろみをつけておくと綺麗なかき玉ができるということです。

もう一つは、沸騰した状態で水溶き片栗粉を加えるとすぐに固まってしまうので、少し低い温度で加え、徐々に温度を上げていくことです。
 
4)温度が上がったら溶き卵を回し入れます。鍋肌近くの温度が高いので、外から中へ回しいれるのがいいようです。
 
5)酢を加えて馴染ませ、せりを乗せて蓋をしめ、火から下ろして余熱で火を通します。
 
6)器によそい、ラー油を垂らします。
 

酸辣湯は「筍」のイメージが強いですけれど、僕は季節に関係なく作っていて、だから季節外れの筍に拘らなくてもいいんじゃあないかと思います。それよりも旬の野菜を楽しみましょう。

生きくらげは爽果さんの好物で、近所の八百屋さんでいつでも買うことができるので使っています。なくても構いません。

せりの季節でなければ、三つ葉でもピーマンの細切りでもいいです。

ラー油は料理家さんのレシピそのままの自家製です。市販でもいいと思いますが、作るのは難しくないです。みなさんもいいレシピと出会えるといいですね。
 

この鍋一杯の酸辣湯は夕食で半分以下になり、そして翌朝までにほとんど無くなっています。僕は安らかに眠っているので、一人ブラック企業の爽果さんが深夜残業の夜食にしたのでしょう。

ごく控えめに言って、すごく大好きなようです。
 

こんな風に爽果さんは器を作っています。

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