はじめさんの料理帖_パン

こんにちは。岳中爽果のパートナーのはじめです。

 

趣佳さん年末恒例の「お酒のうつわ」展にあわせての料理帖更新です。
今回はヤエちゃんの愛したパンを紹介します。お酒にあまり関係はありません。

 

ところで旅先での食事はどうしていますか?
2022年僕たちはパートナーの仕事関係で2回旅をしました。旅先で何を食べるか、というのはなかなか楽しくも悩ましい問題です。その中で、「旅先ピザ縛り」というのもいいかな、と思ったのでお伝えしたいと思います。

 

僕たちは旅先の名物にさして興味はなく、名店を積極的に訪ねるわけでもなく、土地に詳しい知り合いがいれば教えてもらうし、連泊ならわらしべ長者に倣って行ったお店で教えてもらってお店を決めます。

 

いずれの手も使えない時にどうするか?
旅先で検索に時間を費やすのも勿体無いので、「ピザ」で第一段階の絞り込みをかけてしまうのです。

 

なぜピザなのか?理由があります。
普段食べないけれど、それなりに好物ではある。近所に適当な店がなく、滅多に食べることがない、というのが一つ目。
そして、ピザならどこを選んで、どれだけ食べても、お勘定にドキドキ心配する必要がほぼない、それなりの店なら地の食材を食べることもできるし、そこそこのワインも飲むことができる、というのが二つ目。
これくらいの要求と条件を満たしてくれるなら旅飯としては十分です。

 

さて、ヤエちゃんは旅立ってしまいました。彼女が旅先でお腹を空かせて困らないよう、せめて僕のできることと思い、このレシピを紹介することにしました。

 

ヤエちゃんの愛したパンです。
どれくらい愛していたかというと我が家での料理会(家飲みの会)の時に、ラムハンバーグとビーフシチューの選択に迷いながらも、ずっと手を止めることなくこのパンを食べていました。

 

「このパン、止まらへんなぁ」

 

趣佳さんがやってくると、いつも10時間をこえるマラソン料理会になりました。20品前後の料理を作るので、どの料理をどれだけ食べるのかは、常に真剣に検討されるべき課題でした。
考えているだけでお腹が空いてきそうです。
そんな中でヤエちゃんがつまむのを止めることができなかったのがこのパンです。

 

2022年5月の爽果さんの個展の時にもパンを焼いてお土産にしました。最後の贈り物になってしまいました。渡すことができてよかったと今更ながらに思っています。

 

このパンの材料は強力粉、水、塩、ドライイーストです。油脂も糖質も加えません。手で直接種に触れることもありません。
加水率が小麦粉に対して8割と高く、ドライイースト少なめで、こねずに冷蔵庫で時間をかけて発酵させ、厚手の鍋に入れてオーブンで焼く、という特徴があります。
高加水・低温発酵パンということになります。

 

僕が焼くのはこのパンだけです。
そしてこのパンを彼女が愛してくれたことを僕は本当に嬉しく思っています。
このパンを焼くとき僕は必ず彼女を思い出すことになると思います。

 

ヤエちゃんの愛したパン

このパンの特徴は「高加水」「捏ねない」「低温発酵」ということだと思います。
オリジナルレシピはストウブを使って焼きます。僕はストウブを持っていないので、ル・クルーゼで焼けないか、と思いました。
しかし、このパンの焼成温度は250℃で、ル・クルーゼの蓋の取手は230℃が上限なので、そのままでは無理です。
我が家には4つル・クルーゼがあり、そのうちの一つがステンレス製だったので、18cmル・クルーゼに取り付けて対応しました。

 

あるもので済ませる、僕の好きな思想です。

 

小麦粉に対して8割の水を加え、捏ねずに、冷蔵庫で一晩寝かせて発酵させます。これはオーバーナイト法というそうです。
おそらくこの方法を採用することから、ドライイースト少なめ、というレシピになっているのではないかと推測しています。

 

仕上がりは皮がパリッと硬め、中ふんわりのパンです。
高温に耐える厚手の鍋をお持ちの方はぜひ一度試してみてください。
(温度調節すれば、通常のパン型や琺瑯製の容器を使って焼けると思います)

 

道具

・はかり
・径23cm程度のボウル
・スパチュラ
・ラップ、クッキングシート
・厚手の鍋(18cmル・クルーゼ 容量1.8リットル)

 

材料

はじめさんの料理帖_パン画像2

・水 240cc
・ドライイースト 1g
・強力粉 300g
・塩 5-6g

 

手順

1)水温が低ければ30℃から40℃程度に温め、ドライイーストを加えます。

2)ボウルに強力粉と塩を入れ、スパチュラで均一に混ぜます。

3)2)に1)を3-4回に分けて注ぎ入れ、都度スパチュラで混ぜます。

4)粉感がなくなったら、ほわっと丸め、ラップして一次発酵を待ちます。

画像は一次発酵前の朝10時30分、室温20℃の状態です。頼りないですね。
この時は一晩寝かせず、そのまま室温で発酵させました。

5)一次発酵したら冷蔵庫の野菜室に入れて一晩寝かせます。

画像は同日14時、3時間半経過後の状態です。2倍くらいに膨らんでいます。

6)一晩経ったらオーブンシートを敷いたル・クルーゼに移して常温に戻るのを待ちます。

画像は5)をル・クルーゼに移した直後で、移しただけで、打粉もしていないし、丸めてもいないし、この後全く触れてもいません。

7)250℃に余熱したオーブンで鍋に蓋をして30分、蓋を取って12分焼きます。成形もしないし、クープも入れていません。
我が家のオーブンの熱源は電気で、200℃以上に設定しても10分立つと200℃に下がる仕様なので(つい最近知りました)、その点は使うオーブンによって調整が必要になると思います。試行錯誤する価値はあると思います。

画像は、同日16時30分、焼く直前です。5)からは2時間半経過しました。

8)焼き上がったらオーブンから鍋を取り出します。

9)オーブンシートごと取り出し、網に乗せて冷まします。


 

ヤエちゃん、お腹いっぱい食べてくださいね。
 

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