展示を前に新田さんの工房へお伺いしました。
吹きガラスを別の工房で制作されて、ご自宅にある工房で加工し仕上げられます。
工房の部屋には、様々なガラスを加工する機械が配置されていて、道具がきっちりと並んでいました。

新田佳子さん工房

新田さんの作品はサンドブラストという技法を使いガラスのうつわに加飾を施していきます。ガラスの表面に砂などの研磨剤を吹き付け、その部分が擦りガラス状になる加工法です。白と透明のガラスの世界が作られていきます。

工房での作業の様子を、順を追って丁寧に説明してくださいました。
まずは、吹きガラスで形を作ったうつわの底をピカピカに研磨していきます。

新田佳子さん工房

荒い目のものから徐々に細かい目のやすりに何段階も経てピカピカ、そして水平にしていくのです。実際に作業を見せて頂きましたが、研磨はぐっと力がいる力作業です。
うつわの底を仕上げるだけでも根気と時間がかかります。

新田佳子さん工房

※少しずつ削られていく様子

「底を不透明な状態で仕上げてしまえば断然楽なんだけど、グラスだったら呑んだ時に底の模様や景色もきれいに見えたほうが嬉しいから」と新田さん。
きめ細やかな心遣いが見られます。

次にボンドでの模様付け。初めて新田さんにどうやって模様をつけているのかをお伺いしたときに「ボンドです」と聞いたときは全く想像していないアイテムが答えだったので驚いたのを思い出します。
目の前で作品の模様が出来上がっていく様子は絵を描いているのを見ているようでとても感動的でした。

新田佳子さん工房

ボンドでの模様付けを体験させてもらいました。豆皿に好きな模様を…
自由度が高すぎてどうしていいか分からず、しばらく考え込みましたがとにかく手を動かしてみることにしました。
当たり前ですが見るのとするのは大違いで、頭の中では新田さんのようにするすると絵を描けるイメージはあるのです。
しかし、ボンドの出し具合や手を動かすスピードが本当に難しくてイメージ通りにはいかない。
四苦八苦していると「ボンド歴もガラス歴と同じぐらいながいから(^-^)」と。全くその通りです。
それでも途中から、楽しくなりしばらく無言で没頭してしました。貴重な体験をありがとうございました。

次は、いよいよサンドブラストの加工です。
砂などの研磨剤を吹き付けて、ボンドやテープで保護していない部分を彫っていきます。

新田佳子さん工房

新田さんの作品は長めに砂を吹き付け、深めに彫っていきます。
深く彫ることでコントラストが生まれて奥行きのある模様が浮かび上がります。
残ったボンドやテープをはがせば、白と透明が美しい作品が生まれるのです。

新田佳子さん工房

※同じ模様で (左)がサンドブラスト後 (右)がサンドブラスト前

新田佳子さん工房

まずは吹きガラスで独特の柔らかい曲線や、すっきりとした線など色々な形を作り出し、
サンドブラストで白と透明で模様を装飾をしていく、手間と時間をじっくりとかけた作品です。日常に優しくやわらかなうつわをプラスして心地よい食卓をお楽しみください。

 

山本からの紹介でした。スタッフ:山本

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