02糸こんにゃくのピリ辛煮

 

 

皆さん、こんにゃく芋からこんにゃくを作ったことはありますか?

僕は何度か作ったことがあります。

摩り下ろして、茹で、凝固剤で固めて成形して、茹でてと、カロリーもほとんどないこんにゃくをどうしてこんなに手間暇かけて作り、食べ続けたのだろうか、と不思議に思いました。

 

理由はあるのです。皆さんもぜひ実感してください。

 

この料理の材料は糸こんにゃくと醤油、酒、一味だけです。

一般に「雷こんにゃく」と言われるレシピと比較すると、板こんにゃくではなく糸こんにゃくを使う点、オイルを使わず乾煎りする点と甘みを加えない点が特徴だと思います。

かみごたえがあって満腹中枢をしっかり満たし、おまけに乾煎りなのでほぼカロリーもないです。

したがって罪悪感も無用です。おまけに胃を綺麗にしてくれます。

 

献立に取り入れたくなりませんか?

 

原型は「京味」の料理本です。お店には伺ったことはないですが、レシピにとても納得したので勝手に作り続けていました。

 

ところで「雷こんにゃく」と呼ばれる理由をご存知です?

作ったことがあればわかると思いますが、乾煎りすると「ばちばちばちばち」とすごい音がするのです。

どのくらいすごい音かというと。

 

2021年の春から夏、我が家の目の前の通りは高校生カップルのデート場所になっていました。お向かいが空き家で、その前をカップルが行ったり来たり、腕を組んだりつないだりしていました。

別に覗いていたわけではなくて、我が家の台所からは玄関のガラス越しに通りが丸見えで、ちょうど夕食の支度の時間帯に彼と彼女はやって来ます。向こうからこちらはガラスが反射して見えないのです。お互いを見つめ合うのに忙しくて他のことなんて目に入る状態ではなかったと思いますけれど。

昔風に言えば熱々というやつです。

我が家は夏になると玄関は網戸にします。音は筒抜けですね。

ある夕、こんにゃくのピリ辛煮を作ろうと温めた雪平鍋にこんにゃくを投入して「ばちばちばちばち」とものすごい音がすると、彼と彼女がこちらを見たのです。

距離にして10mくらいでしょうか。

 

それくらいの音がします。

 

後日談ですが、その後二人を見かけることはありません。

次の段階にステップアップしたか、お互いを必要としなくなったか、あるいは会えない理由ができたのか、と妄想しています。

 

話を戻します。

僕は以前から板こんにゃくで同じものを常備菜として作っていたのですが、ある日ふと思い立って糸こんにゃくを使って夕食食べきりメニューとし、調味料の量も調整しました。

こんにゃくの整腸作用が嬉しくてこの3月、4月はほぼ毎日食べました。

旅先の朝も以前はヨーグルトだったのですが、まずこんにゃくゼリーを口にするようになりました。

 

冷めても美味しく、夕食の支度の最初の方にさっと作っておけるので重宝します。

熱々もいいですが、冷めても味わいがあるのはいいところだと思います。

 

ところで、糸こんにゃくは板こんにゃくほど乾煎りするときに音がしないのです。

残念ながら。

 

糸こんにゃくのピリ辛煮

 

主要な道具

・22cm雪平鍋

・ざる

 

材料

・糸こんにゃく 1袋250g

・醤油・酒 各大さじ1

・一味唐辛子 適宜

 

手順

・糸こんにゃくを下ゆでして湯を切ります。

・まな板に細長く置き、4つに大きく切ります。

・雪平鍋を温めて糸こんにゃくをしっかり乾煎りし、水分が飛んだら酒、醤油を加えて水気を飛ばします。火加減はずっと中火程度です。

・この料理にコツがあるとすれば、乾煎りの度合いだと思います。オリジナルのレシピには「焦げ目がつくまで」とあります。確かに焼き鳥でも、焦げ目がつくまでしっかり焼いたこんにゃくはうまいものです。

・僕は糸こんにゃくがちょっとチリチリになって、雪平鍋の中でツルツルっと滑るようになるのを目安にしています。しっかり乾煎りすると、味の染み込みもいいようです。

・仕上げに一味唐辛子を加えてよく和え、器に盛り付けて飾り用にさらに一味唐辛子を軽く振ります。

 

おしまい

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