はじめさんの料理帖

こんにちは。岳中爽果のパートナーのはじめです。
趣佳さん恒例年末の「お酒のうつわ」展初日に
お料理を提供することになったので、あわせて料理帖の更新です。

毎年へちかんさんがお料理を用意して下さっていて、
今回は無理を言って初めて割り込ませて頂きました。

お料理はお酒に合わせて、ということで
松前漬けと酒粕クラッカーの酢締め焼き鯖リエット乗せを用意しました。
へちかんさんの日本酒とお料理と共に楽しんで頂ければ嬉しいです。
これで僕も趣佳さん主催の「忘年会」にようやく「関係者」として参加することが出来ます。

2年前、初めてその忘年会に参加させて頂いたのですが、
その時はさやかさんから「趣佳さんから忘年会に誘われてるんだけど行く?」
ということで「ふーん」と何も考えずについていったら、
その「忘年会」というのは、酒器展に出品した作家さん達と趣佳さんの「打ち上げ」で、
その年はさやかさんは出品もしていないし、
まして僕は何の貢献もしていません。うかつでした。

昨年はさやかさんも出品したので、僕は「家族枠」で参加させてもらい、
3年目にしてようやく「関係者」に昇格することが出来たというわけです。
石の上にも3年です。

 

□ 松前漬け

はじめさんの料理帖

松前漬けは我が家の常備菜です。
吉祥寺に住んでいた頃は季節問わず作っていたのですが、
いくつかの理由から今は秋冬限定の常備菜になっています。
一つは松前昆布またはがごめ昆布という粘りの出る
昆布の入手先がなかなか見つからないこと、
もう一つは秋冬にしか出回らない金時人参の赤色に慣れてしまうと
西洋人参では視覚的に物足りないことが理由です。
もちろん西洋人参でも全く問題ありません。
材料さえ手に入れば作り方は至って簡単ですし、
日持ちもするので是非試して頂きたいと思います。
但し、と、ハードルを挙げるようで申し訳ないのですが、
漬けてから2週間ぐらいが一番とろみがでて旨いと思うので、
それに耐える調味料、特にみりんを使って欲しいです。
いわゆるみりん風調味料は時間が経つと風味が飛んでしまいます。
本物のみりんはちょっといい日本酒並みの値段ですが、
それだけの価値はあると思います。

【材料】

松前昆布またはがごめ昆布(刻み) 30g
するめ 50g
金時人参 50g
A 醤油 50cc
A みりん 50cc
A 日本酒(料理酒ではなくて、安くてもいいので普通に飲める日本酒) 50cc

【手順】

1)Aを大きめの鍋に入れて火にかけ、アルコールを飛ばして下さい。
決して焦がさないようさっとでいいです。そのまま放置して次の手順へ。

2)するめを料理ばさみで細く切って下さい。長さは3−4cm程度で、
人参の長さとあわせるといいです。するめの切り方について一言。
いかの繊維は横に走っているので、まず胴体を横に切ってから、
縦に細切りしていくと繊維が切れて甘味が増します。
生のイカも同じです。
タマネギも繊維に対して平行に切るのと直角に切るのとでは味が変わります。
それから、僕は足もエンペラも一緒にいれてしまいますが、
使わない場合はぶつぶつ切って日本酒に漬けておけば、
お好み焼きや煮麺の具に使えます。日持ちもします。
日本酒にはもちろんいい出しが出ていますから余さず使って下さい。

3)続いて金時人参をするめの長さに合わせて細切りにして下さい。
細さはお好みですが、細い方がよく絡むと思います。

4)1の鍋に昆布、2するめ、3金時人参を入れてよく混ぜ、
タッパウエアにでも移して冷蔵して下さい。

5)翌日から食べられますが、日が経つにつれてタレが染み込み、
全体的にくたっといい感じになってきます。
タレが少なめなので、毎日かき混ぜるといいと思います。

 

□ 酒粕クラッカーの酢締め焼き鯖リエット乗せ

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□ 酒粕クラッカー

酒屋の店先に「酒粕あり枡」の張り紙が目立つようになると、
京都では秋を感じます。
僕たちは日本酒を扱う飲食店に行くことが多く、
お店で酒粕をもらうこともあります。
でも、実はそんなに酒粕が好きというわけではなく、
粕汁だけではなかなか消費出来ないので考えたのがこのレシピです。
レシピは直径27cmの電気オーブンで焼くのに丁度の分量にしています。
我が家では3回分をまとめてフードプロセッサーで捏ね、
すぐに焼かない分は小分けして冷凍保存しています。
焼いていると家中に酒粕のいい香りが漂ってきて幸せな気分になります。
台所の作業台の上に置いておくと、おやつ代わりにいつの間にか減っていきます。

【材料】

薄力粉 100g
酒粕 50g
塩 1.6g(材料の0.8%相当)
油 30cc
水 10-30cc(酒粕の柔らかさに応じて調整して下さい)

【手順】

1)オーブンの天板にシリコン加工のアルミホイルか
クッキングシートを敷いておきます。

2)ボールに薄力粉、酒粕、塩を入れ、混ぜます。
3、4の工程で指が汚れていない方がいいので、スパチュラを使うといいと思います。
練り込む必要ななくてぼそぼそになるくらい混ざればいいです。
酒粕によっては固くて混ぜにくいと思うので、ちぎって先に水に浸しておくといいです。

3)2に油を加えてさらに混ぜます。油はお好みのものでいいです。
僕は日常的に愛用しているコーンオイルを使っています。

4)3の段階でしっとりしてくると思うので、加減を見て水を加えて下さい。
多いとべちゃべちゃになりますので注意して下さい。
ボールに生地がつかなくなったら丸めます。
この時初めて指で直に生地に触れます。

5)1に4生地を広げ、天板いっぱいに出来るだけ均一の薄さに伸ばします。
あとは指で生地に触れることはないので手を洗ってオーブンを180℃に予熱します。

6)生地が膨らまないようにフォークでつつき、適当な大きさに切れ目を入れます。

7)180℃に予熱したオーブンで15分焼き、そのまま庫内で冷まします。

 

□ 酢締め焼き鯖リエット

一般的にリエットは豚肉をフォークでつぶせるほどにラードで煮込んで作ります。
これを酢締めした焼き鯖とクリームチーズで作ってみました。
フードプロセッサーにかければ滑らかになるのだけれど、あえてそれはしません。
僕はどちらかというと素材感の残る食感が好きです。
鯖は酢と塩で身を締め、レモンとハーブで臭みを消します。
今回は酒粕クラッカーにのせて供してみました。後を引くと思います。

【材料】

A 鯖(三枚おろし) 1尾分
A 塩 大さじ1程度
A 酢 大さじ4程度
クリームチーズ 90g(小分けされたもの5つのイメージ)
タマネギ 100g
レモン半個分の絞り汁
塩 0.8g(タマネギ分)
コショウ、タイム、バジル 適量

【手順】

1)A鯖の皮目に切り込みを入れ、両面にA塩をまぶしてバットにいれ
A酢をふって冷蔵庫に30分おきます。ペーパータオルで覆えば全体に酢が回ります。
これで酢締め鯖の出来上がりなので、焼いてそのまま食べてもおいしいです。

2)待つ間にクリームチーズを常温に戻し、タマネギをみじん切りしておきます。

3)1鯖の汁気を拭き、グリルを熱して焼きます。
脂が落ちるように皮を上にします。焼き加減はそのまま食べておいしい状態まで、
10分程度で焼き上がると思います。

4)粗熱が取れたら皮と骨と取り除き、ほぐします(割と手間です)。
骨は腹骨の他に、背骨から水平に走る骨もあるので上身と下身を割ると取りやすいです。

5)大きめのボールに2クリームチーズをほぐし、2タマネギみじん切りを加えて混ぜ、
さらに4ほぐした鯖、レモンの絞り汁、塩0.8g、
お好みでコショウ、タイム、バジルを振り、よく混ぜて一度冷やせば出来上がりです。
パンやクラッカーにのせて召し上がって下さい。
レモンの量が多いとクリームチーズの味が引き立ちますが、
鯖の味はあまり感じなくなります。

 

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お料理、レシピ執筆:はじめさん
うつわ提供:岳中爽果

 

 

 

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