岳中爽果

おからは豆腐の副産物で、大豆の絞りかすです。
植物繊維に富み、栄養価も高いのですが、足が速く現代ではほとんど廃棄されているそうです。

これを甘めに煮付ける卯の花はもともと魚の煮付けの残り汁を
利用したもので、二重の意味で再利用料理だと思います。
こういうコンセプトは僕は大好きです。

我が家でも時々魚の煮付けの翌日は卯の花を作ることがありますが、
今日は鶏そぼろを加え、甘味を抑えて飲み屋でも通じる一品として仕上げました。
卯の花の具にも流儀が色々あるようですが、僕の場合は三つです。
一つは長ネギを入れないことで、長ネギ自体は大好きなのですが
卯の花に入っているのはあまり好きではありません。
もう一つは具を細切りではなく小さめのさいの目に切ることで、
これはまあ純粋に手間と好みの問題だと思います。
あまり具材に主張されたくない、ということなのかもしれません。
あるいはびろんと伸びたお揚げが切ないということなのかもしれません。
三つ目は挽肉の他の具は三つに絞り込むということで、
ごぼうなんかもおいしいのですがハードルがあがるだけです。
残り物があるなら入れてみて下さい。
おから自体がメイン料理にはならないと思うので、
ちゃちゃっと作れるのがいいと思います。

それから、おからを使うときに知っておいた方がいいことを二つ。

一つは、使い切れない分は冷凍保存が可能だと言うことです。
半分使って後は冷凍、という使い方ができます。
もう一つは、おからは水分を多く含むということです。
卯の花を作る時にからいりするのは水分を飛ばして味が染みやすくするためです。

出しは普段お使いのものでいいと思います。
我が家では1リットルのお水に昆布、煮干しを10gずつ入れて
冷蔵庫で水出しにしています。
出しはよく使うので、1リットル容器を2本使って回しています。
日持ちについてはあまり考えたことはないのですが、
香りが命、ということでもないので3−4日は大丈夫だと思います。

【材料】

A 人参 50g(小さめの人参の半分ってとこでしょうか)
A 椎茸(小さめ) 3枚
A お揚げ 10cm×10cm(京都の大判なら1/4、通常のサイズなら1/2相当だと思います)
ごま油 小さじ1
鶏挽肉(できればモモと胸半分ずつ) 200g
おから 200g
B 出し 250cc
B 日本酒 大さじ2
B 砂糖 大さじ2
B 塩 2g
B 薄口しょうゆ 大さじ2

【手順】
1)Aの材料を全て5mm角程度に切ります。人参の皮はむかなくてもいいです。
椎茸の軸も使います。細切りでもいいですが、僕はこの切り方の方がおからには合うと思います。

2)22cm行平鍋を弱めの中火で温め、ごま油をひき、鶏挽肉を入れて火を通します。
これより小さい鍋だとかき混ぜるときにこぼす可能性が高くなります。
この後、火加減は最後まで弱めの中火です。
最初にざっくりお鍋に広げたらいじらずに1分ほど放置して混ぜ、再び広げて1分放置、
ということを繰り返します。お鍋には最初お肉がくっつくかもしれませんが、
しばらくすれば離れるので心配無用です。
「色が変わるくらい」ではなく、これで食べられるだろう、
というくらい十分に火を通してぽろぽろの状態にします。
透明な汁が出てくればOKで、5分くらいです。

3)2に1を加えて更に炒めます。人参に軽く火が通る程度でいいです。1分ほどです。

4)3におからを加え、底から大きく混ぜながらぽろぽろになるまで炒めます。
3分ほどです。鍋肌にくっつきますが、出しを加えれば剥がれるので大丈夫です。

5)4にBを順に加えます。さ(砂糖)し(塩)す(酢)せ(しょうゆ)そ(味噌)、です。
全体が馴染むように混ぜ、鍋肌にくっついたおからもこそげます。
時折底から大きく混ぜ、混ぜても底に汁気が残らない程度まで水分を飛ばして下さい。10分ほどです。

 

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