(特別編)台所の育て方ー「居場所としての台所」後編
□ 席替え………………………………………………………………………
料理の仕方が変われば台所の作り方も変わります。
時々、「君はどうしてそこにいるんだっけ?」
と台所道具に問い掛けて下さい(別に深夜にお酒を飲みながらでなくてもいいです)。
「えーと、まあ」程度の返事しか帰ってこないなら、
その場所は明け渡してもらったほうがいいです。席替えです。
席替えはでも、厄介です。
台所は一つのシステムです。しかも自分で作り上げ、育てたシステムです。
どこかいじると、必ず他に影響が出てくる。いじるのは怖いです。
でも、他に影響がないなら、まだシステムになっていないということです。
システムなら、くじ引きに任せることはできません。
深く自分の中に潜り、台所の使い勝手、使っていて気持ちいいかどうか、
そんなことを自分に問うてやらなければなりません。
でも、安心してください。
気になる事があればとりあえずいじってしまえばいいんです。
3回同じ事が気になったらいじったほうがいいです。
いじってみてそれでまた気になる事があれば、それをいじればいいんです。
僕は保険のために写真を撮っておきますが、見直したことはないです。
そんな風にして育ったのが今の僕の台所です。
事務机の下にゴミ箱を置く。ゴミ箱自体は同じものではないけれど、
10kg入り米袋を被せて色がうるさくならないようにしている。手前から、
・雑がみ。紙袋を入れていて、そのまま回収に持っていく。
・プラスチックごみ。10リットルの指定ゴミ袋をあらかじめ入れている。
中学生の時から使っているゴミ箱が健在。
・燃やすごみ。「生ごみ」は野田ホーローに集約し、
ここにはいわゆる「生ごみ」は入れないルールにしている。
新聞紙で作った簡単な袋(両側を折っただけ)を入れ、
捨てるときは新聞紙ごと指定ゴミ袋に入れる。埃が散らないし、ゴミ袋も汚れない。
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□ 整理整頓………………………………………………………………………
モノの「居場所」、「定位置」を考えるとき、
「収納」ではなく「整理整頓」ということを意識します。
「収納」はものをしまいこむニュアンスが強いように僕は感じます。
「整理整頓」は使いたい時に使いやすい場所にモノがある状態だと思います。
僕は整理整頓が好きです。
整理整頓に対する僕の好き加減は、整理整頓されていないと気持ちが悪いし、
もし許されるなら、自身が身を置く環境は
全て整理整頓された状態にしておきたいと思う程度です。
他人の生活に踏み込むつもりは無いし、僕に関わりのない世界に対して
整理整頓を求めるわけでもありません。
整理整頓はとても正確に定義出来る言葉で、必要なものが定められた場所にある、
という状態だと考えています。
見た目がすっきりしている、ということだけではなくて、
「必要なものだけがあって、不要なものがないこと」=整理、そうやって
絞り込まれた「必要最小限のものが定められた場所にあること」=整頓だと理解しています。
「機能」的といっていいと思います。実にすっきりしていてよろしい。
もし、「必要なもの」があらかじめ厳密に定義できるならば。
「必要なもの」が厳密に定義出来る、というのは、
環境変化を前提としないか、環境変化を完全に予測できることを前提とし、
さらには、もし予測が外れれば外部からいつでも調達出来る、
ということを含意しています。僕は、環境なんていつでも変わるし、
どう変わるかなんて僕には予測も出来ないし、
そのときに必要となるものをいつでも外部から調達出来るとも思えません。
311がすべてふっとばしてしまいました。そして今も。
それは、環境にとても依存した考え方です。
だから、僕には「整頓」は出来ても、
「整理」には幾分余白を作っておかないと安心できません。
ミニマリストというのは考え方として刺激的ですし、
否定もしませんが、僕には向いていません。
僕にとっての理想の状態というのは、
「そのことについて考える必要がない状態」で、
お金については常々そう考えてきました。
お金はなさ過ぎても、あり過ぎても、お金について考えてしまうことになるので、
お金について考えなくてもいい程度に持っている、
あるいは稼ぐことが出来る、というのが一番いい状態だと僕は思います。
お金は手段であって、目的ではありません。
ものについてもそれは同じことで、それ以上考える必要がない程度に
整理整頓されていれば、僕にとってはそれで理想状態ができあがっていることになります。
ものは使ってなんぼのものです。持つことが目的ではありません。
「整理整頓」で脱線してしまいました。エピローグです。
□ エピローグ………………………………………………………………………
台所をしっかりと育てていると、新しくものを入手する時に
「居場所」を作れるか、「定位置」を用意できるか、自問することになります。
「席替え」のことも考えなくてはなりません。
自ずとものとの付き合いに緊張感が生まれます。
そんな風にして、「今のところ、僕はこんな風に暮らしています」ということを
自信を持って言えるようになりました。それがこの文章です。
いい台所を育て、おいしい料理を作って下さい。
長々と書いてしまいましたが、ついで、ということで
2019年12月13日のブランダードの記事でちらっと触れた
「玉ねぎの皮むきの方法」を補論として紹介します。
玉ねぎの皮の行き先は、もちろん
コンロ右上の野田ホーローです
(玉ねぎの皮は、一度染色にとっておくことも考えたこともあるのですが、
相当な量を用意する必要があるらしく断念しました。無念。)。
補論 たまねぎのむき方1
使い方にもよりますが、肉じゃが用にくし形に切る場合に有効な方法です。
1 皮ごと縦に二つに切る。
2 皮ごと更に二つに切る(縦に4つ割りです)。
3 皮の部分を下にして根元に包丁を入れ、最後の皮1枚を残す
(微妙な力加減ですが何回かやれば慣れます)。
4 根元の方から皮をぺろりと剝く(上手くいくと笑みがこぼれるほどするっと剥けます)。
5 内側の小さな部分を2-3枚分はがし、はがした部分はそのまま使い、残りを3等分程度にする。
補論 タマネギのむき方2
みじん切りにするときなどに便利な方法です。テキストだとちょっと伝えにくいですけれど。
1 皮ごと縦に二つに切る。
2 包丁を使って茎の方から根元に向けてつるりと皮を剥き、根元で切り離さない。
3 ひっくり返した皮の部分を持ってみじん切りの下準備として縦に包丁を入れていく。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
近々、レシピを紹介できるのでまたその時に。
みなさま、息災で。