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じゃがいもの白和え(自家製塩麹と甘酒も)

2018年4月30日

岳中爽果

岳中爽果さんの個展初日に、旦那様であるはじめさんに
お料理を用意していただきました。
じゃがいもの白和え、しょうゆ豆、ティラミス、レアチーズケーキの4品。
わたしたちははじめさんのお料理の大ファンで、はじめさんに相談し、
今回、「はじめさんの料理帖」としてレシピ掲載が叶いました。
はじめさんの暮らしのこだわりなどが随所にちりばめられた
読み物にもなっています。
第1品目の今日だけごあいさつや、調味料である塩麹や甘酒のレシピも
はいっているので、少し長く感じるかも知れませんが (^^ゞ
はじめさんの暮らしを想像しながら、ご自身の暮らしに重ねて
どうぞ、お楽しみくださいね^^

趣佳 / 岩金
画像は、岳中爽果さんの平杯を豆鉢にみたてて。

 

ごあいさつ

 (※この文章は、岳中さんの個展初日、イベント開催日に書かれた設定になっています)

 

こんにちは。岳中爽果の旦那のはじめです。
主夫をしながら爽果さんの作品を中心に損なわれた器の修復をしています
(爽果さんからは営業妨害とも言われています(嘘))。

今日は爽果さんの個展初日ということで、僕があれこれ料理を作って
爽果さんの器あれこれに盛ってみるという機会を
趣佳さんから頂きました(命令ではないです)。

昨年は自家製カスピ海ヨーグルトを使ったレアチーズケーキを食べて頂き
特にクレームでへこむ事もなかったので(喜びすぎて走り出す人もいませんでしたが)、
ちょっと図に乗って今年は4品用意してみました。
いきなりの4倍はすごいですね(自賛!)。

今回用意したのは、
じゃがいもの白和え、しょうゆ豆、ティラミス、
昨年に続きレアチーズケーキです。

じゃがいもの白和えは近所の豆腐屋さんの豆腐を使った和風のポテトサラダ、
しょうゆ豆は東京は富ヶ谷の名店「酒坊主」の定番お通しで、
乾燥大豆を水で戻してから水切りして煎る、というややこしい手間をかけています。
ティラミスは自家製コーヒー酒で味付けし、
レアチーズケーキはやはり自家製カスピ海ヨーグルトをふんだんに使ったものです。
我が家ではお客さんを呼んで僕が料理をふるまう「料理会」(食事会ではないんです)
というのを10年以上にわたって続けていまして、この4品はその中でも定番の料理です。

自家製、地産地消、一物全体、乾物利用、というのがなんとなく
僕の料理の価値観にはあって、この4品も少しずつその要素を持っています。

ついでに地産地消について一言。
これらの料理の材料は近所であがなえる物をできるだけ使っています。
おいしい、というのがまずはあるのですが、それだけでもないです。
16年に京都に引っ越してきた時に近所で何が買えるのか、
ずいぶんと自転車で走り回って研究しました。
なんと、だし巻き玉子の専門店までこの地にはあることがわかりました。
消費というのは僕は投資になりうるのだと思っています。
使うことで育つものがあるんだと思います。
だから、出来れば近くで作られるものを食べ、近くで商われるものを買い求めるのが、
自身の住まう環境には一番いいのではないかと考えています。

爽果さんの器と共に楽しんで下さい。
ついでに爽果さんの器も買って頂けると(そしてもちろん使って頂けると)
走り出すほど嬉しいです。

 

□ じゃがいもの白和え

岳中爽果 じゃがいもの白和え

僕は白和えをさしておいしくもないし、その割に手間がかかる料理だと
ずっと思っていました。豆腐なら湯豆腐か冷や奴でいいんじゃないかと。
麻婆豆腐はよく作るので、豆腐自体が嫌いなわけじゃないんです。
なんでわざわざ豆腐をぐちゃぐちゃにしなければならないのか、
ずっと理不尽に思っていました。

我が家の夕食はおかずが4品並びます。
それは僕が自身に課した誓いなのですが、今となっては湯婆婆のように
ちょっと後悔してはいます(おかげで千は豚に変えられずにすんだのですが)。

メインと野菜料理で2品、あと2品がなかなか難しくて、
何か定番おかずを作らねばとしばらくネットを漁る日が続きました。
そんなときに笠原将弘氏の「もやしと鶏肉の白あえ」のレシピを見て、
豆腐は水切りして泡立て器でほぐすだけでいいんだ、裏ごしなんてしなくていいんだ、
という出会いをしてしまったのです。
歩いて2分の豆腐屋さんの豆腐がものすごくおいしくて、
このおいしい豆腐の食べ方はもっとないのか、
という探求心がこの出会いに結びついたわけです。

おいしい豆腐はあえ衣にすると上質のクリームのようになります。
素材としてまことに魅力的です。
京都にはまだまだ地元の豆腐屋さんが生き残っていて、店毎の味を楽しむことが出来ます。
レシピの味付けは、ごま油、薄口しょうゆ、みりんで、みりんの甘味が入ります。
調べてみると白和えのレシピは割と甘味が強い物が多いようで、
それも白和えを敬遠していた理由の一つだと思います。

最初から鶏肉は加えずもやしだけで白和えにしてみました。悪くないです。
でも豆腐自体に甘味があるので、みりんはなくてもいけると思いました。
もやしはその前からナムルにして食べていて(この冬は野菜が高かったですもんね)、
味付けはごま油、しょうゆ、塩、酢だったので、その連想で酢も加えてみました。
ごま油、薄口しょうゆ、酢ですね。
しょうゆは京都御所の近くで作っているものです。
そして我が家の近所にはなんとお酢屋さんがあって、
そのお酢がそのまま飲めるほどまろやかでおいしいんです。
おまけに空になった一升瓶を持っていくと一升650円で買えます。
安すぎると思って聞き直すと「お酒じゃないですから」と言われてしまいました。

具の方は、もやしに代えてさっと塩茹でした拍子切りのメークインを
使ってみました。悪くないです。
そこで浮かんできたのは和風のポテトサラダです。
ごま油をオリーブオイルに、薄口しょうゆを塩に、酢はそのままにすれば
和え衣をマヨネーズのように使えるのでは、と思ったのです。

マヨネーズも我が家では都度作っているので、こういう発想はすっとつながってきます。
ちなみにドレッシングも市販のものは持っていなくて、
オイル、塩味、酸味で都度作っています。
その代わり、それぞれの素材はいいものを使うようにしているんです。
続いての試みは、メークインを男爵に代え、
塩茹でしてから粗く潰してみるということでした。
これも悪くないんですが、何か一工夫欲しいと思いました。
大好きな京都の中華料理屋マンボ飯店のポテトサラダには
焼き豚の切れ端が入っていて、その香ばしさが箸を進めます。
何かこれに近いものがないかな、と考えたところで、最初の鶏肉に戻ります。

ささみを酒みりんに漬け込んで風干ししてから焼くととてもいい風味になります。
七味をかけるとお酒が止まりません。これは使えると思いました。
近所の七味屋さんの七味が旨いんです。

ところで僕は、(時間もあるので)味噌、カスピ海ヨーグルト、塩麹、
甘酒を育て、果実酒、ジャムなんかを手造りしています。
作ったものは出来るだけ使いたいので、塩を塩麹に、鶏肉のみりんを甘酒にしてみました。

余韻がすごく長い味わいになりました。
七味はやっぱり使いたいし、そうなるとオリーブオイルよりもごま油の方が引き立つか、
というような長ーい過程を経てこのレシピができあがりました。
前書きが長くなりましたが、それはおいといて気軽に楽しんで下さい。

【材料】

ささみ 2本
A 醤油 大さじ1
A 甘酒(みりんで代用可) 大さじ1(みりんなら大さじ1)
木綿豆腐 半丁(愛用の豆腐は1丁450gなので225g)
じゃがいも 2個(200g程度)
(じゃがいも味付け用)塩 適量(1.6g程度)
B 塩麹(和え衣用、塩で代用可) 大さじ1(塩なら1.6g)
B ごま油 大さじ1
B 酢 大さじ1
七味

【手順】

1)長期戦ですよ。
1週間前になったら塩麹を仕込み、3日前になったら甘酒を仕込んで下さい(笑)。
塩とみりんで代用出来ますので、身構えなくても大丈夫です。
我が家には日常的に塩麹と甘酒があるので、こっちの方が味の余韻が深くなる、
という理由で使っているだけです。
塩麹も甘酒も乾燥米麹があればたいした手間もかからず作れるので
一度挑戦してみると可能性の世界が広がると思います。
醸すのは楽しいので、両方とも後でレシピをお伝えします。

2)前日になったらささみをAに漬け込んで下さい。
30分ほどで味は染みこみますので、漬け汁から引き上げ、バットにでも乗せて
ラップせずに冷蔵庫に放置して下さい。水分が抜けて風干し状態になります。

3)ようやく当日です(長いですね)。
まずは豆腐を水切りして下さい。豆腐をペーパタオルでくるんで、
網の上に置き、重しをすれば完璧です。少なくとも30分は欲しいです。
網がなければ直接皿の上でもいいです。重しはタッパウェアに水を張ればいいです。
間違っても豆腐の水切り用重しなんてものを買わないように(多分無いと思いますが)。

4)じゃがいもをたわしでごしごし洗って下さい。
皮は剝きません。我が家は山芋もひげだけ火で焼ききり皮は剝かずに摺りおろすほどで、
皮を剝くのは里芋と日焼けした自分の皮膚だけです。
この時流水の下でごしごしやると水がもったいないのでボールに水を貯めてごしごし、
最後に流水で洗い流します。たわしがない人は急いで買いに行って下さい
(すみません、塩麹の仕込みの前にお伝えすべきでした)。

5)じゃがいもを8つほどに切って、0.8%塩水で水から茹でて下さい。
火は弱めの中火で、串がすっと通るくらいまで(串、持ってますか?)。
15分位です。小鍋で水300ccもあればじゃがいもが全部浸かると思いますので、
塩は2.4g、ほぼ小さじ半分です。茹で上がったら熱いうちにざっくり潰して
(このつぶし具合にセンスが現れます。緊張しますね)、
じゃがいもの味付けとして重量比0.8%の塩をぱらぱらと指でつまんで
振りかけておきます。

6)ささみを焼きます。魚焼きグリルなら5-6分でしょうか。
少し焦げ目がつくくらいが味にコクが出ていいです。
焦げ目は食欲の増進剤のようなものです。
焼けたら筋に沿って細かく裂いて下さい
(熱いので火傷しないよう注意して下さい、という野暮な注意を僕はしません)。

7)和え衣を作ります。裏ごしはしないのでハードルは低いです。
水切りした豆腐をボールに入れ、Bを加えて泡立て器で滑らかになるまで
がしゃがしゃ混ぜます。和え衣なんてそんなもんです。
もっと気軽に白和えは楽しめます。

8)7和え衣に5じゃがいも、6ささみを加え、ざっくり混ぜて器に盛り、
七味を振りかけて出来上がりです。
素材感の残る料理なので混ぜるのはざっくりがいいです。
爽果さんの器があればなおいいと思います。

9)一週間にわたる作業、お疲れ様でした。

 

□ 塩麹

塩麹は一時ブームになりました。
僕はブームが去ってからその存在を知り、調味料としてよりも、
その保存能力に惚れ込みました。
かたまりの豚肩ロースを最長1ヶ月漬けたこともあります。
見事に熟成していました。
その他にはささみ、生鮭、鱈、白菜といった淡泊な食材が合うと思います。

塩麹を買ったことはありません。乾燥米麹を買ってきて、最初から手造りしました。
今では保存用の専用容器が常に冷蔵庫の野菜室に入っています。

僕が作っているのは甘口タイプで、塩分濃度は10%程度です。
この塩分濃度が実に使いやすいのです。
「塩梅」という言葉があるほど、塩の分量は味付けにはとても大切です。
味付けはまず塩味(しょうゆも含め)を決めてから、
甘、酸、苦みを調整していくと失敗がなくなります。

ということで、塩味の話。
個人的には塩味だけあればいいと僕は思っていて、
いい塩加減というのは食材の味が最高に際立つ味付けだと考えています。
そういう意味ではいい「塩味」は決して塩の味はしません。
食材の重量比0.8%の塩が一番料理をおいしくさせます。
これは水島弘史氏の『今日からおいしくなる 洋食のシンプルルール』から学びました。
100gの肉なら0.8gの塩、300ccの出しなら2.4gの塩ということです。

これを甘口の塩麹に置き換えると、
塩分濃度が10%程度なので300gのかたまり肉をつけるなら
24g程の塩麹が適量、ということになります。
大さじ2よりちょっと少ない程度ですね。
ちなみにしょうゆなら塩分濃度が15%程度なので、
大さじ1杯のしょうゆは2.25gの塩に相当します。
300ccの出しには大さじ1のしょうゆが丁度いい加減になります。
これ覚えておくと心強いですよ。

【材料】
お湯 300cc
塩 60g
乾燥米麹 200g

【手順】

1) お湯を沸かし塩を加えて溶かし、60℃くらいまで冷まします。
60℃以上で麹菌は死んでしまうらしいのでこの手順の温度管理は大切です。
僕はこのために料理用温度計を買いました。決して燗つけ用ではないです。

2)1にもみほぐした乾燥米麹を加えてよく混ぜます。

3)2をそのまま常温に置き、1日1回かき混ぜ1週間発酵させます。

4)とろりとしてきたら出来上がりなので冷蔵庫で保存します。

 

□ 甘酒

甘酒はこの冬から作り始めました。
「飲む点滴」と言われるほど養分に富み、以前から興味があったのですが、
発酵には60℃で保温する必要があると思い込んでいたので二の足を踏んでいました。
でも、塩麹が常温で発酵するなら、塩分を含まない甘酒が常温で発酵しないわけがない、
と考えて常温発酵の方法を調べてたどり着いたのがこの方法です。
思い込みはよくないです。

爽果さんはこれを自家製カスピ海ヨーグルトに混ぜて食べています。
スーパーフードだと思います。
そして、飲み過ぎた翌日は甘酒をそのまま飲んでいます。
まあ「飲む点滴」なので。
おかげでお腹の調子はいいようです。
作家の体調管理は、主夫の大切な仕事です。

 

【材料】

水 500cc
ご飯 300g
乾燥米麹 200g

【手順】

1)水にご飯を加えて火にかけ、焦げないように混ぜながら
米粒がゆるくなるまで加熱します。
300gのご飯は生米1合程度なので、僕は余分に1合炊いて作っています。

2)火から下ろし60℃程度まで温度が下がったら
ほぐした乾燥米麹を加えてよく混ぜます。
60℃以上で麹菌は死んでしまうらしいのでこの手順の温度管理は大切です。

3)発泡スチロールの容器に甘酒を仕込んだ容器を入れて1日1回かき混ぜていると
3日でできあがります。
発酵が進みすぎると酸味が出てくるので(それでも食べられますが)
かき混ぜた時の味、状態で判断して下さい。
ぷくぷく泡が出てくると酸味が増しているようです。
適当な発泡スチロールの容器がなければ、バスタオル等で包んで下さい。

4)発酵したら火入れします。
甘酒を火にかけ、70℃程度まで上げて、5分ほどその状態をキープして下さい。
冷めたら冷蔵庫で保存します。
このように加熱、放置、加熱という手順になるので、
僕は直火にかけられる野田琺瑯の容器を使っています。

 

_________

はじめさんの料理帖、いかがでしたでしょうか?

明日は昨日大好評だった「しょうゆ豆」のレシピです。

どうぞ、お楽しみに◎

 

 

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